「藍は染料ではなく、顔料です」と語るのは、『藍 風土が生んだ色』(法政大学出版局)などの著者、竹内淳子さん。日本中の藍の産地を歩いてこられた民俗学者です。「水や湯に溶けて微粒子が繊維に入り染まるのが染料です。顔料は、水や湯に溶けないので、石灰や灰汁などのアルカリ分を加え水酸化物に変えます。これを還元といいますが、還元後、空気に触れて発色します」。藍を布にくっつけると表現することもあるといいます。
「化学構造式から作った合成藍、たとえば青色2号には、においはありません」と竹内さん。本物の藍染めは、色だけでなく、香りも褪せません。布を手にしたら、香りも感じたいものです。
竹内さんが大切にしているさまざまな藍染めの布のファイルを開くと、ふわっと藍の香りが立ちました。左は、40年前に採取したタデ藍の葉