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文学の中の藍 日本の文化を象徴するものとして和歌や小説、歌舞伎にまで 日本人の生活の一部であった藍は、さまざまなかたちで文学のなかに取り入れられています。「愛」の掛詞として恋の歌に登場したり、日本の風景として藍色が描かれていたり・・・。その一部をご紹介します。

和歌

藍は、「愛」や「会う」の掛詞として、恋の歌に登場します。播州飾磨地方は藍の本場だったので、和歌によく登場しました。藍の染めるほどに濃くなる色と、深い恋心を、美しく描いています。

いとせめて恋しき時ははりまなるしかまにそむるかちよりぞくる(金葉和歌集)/播磨なるしかまに染むるあなかちに人を恋しとおもうころかな(詞花和歌集)/はりまなるしかまの里にほすあいのいつかおもいの色に出づべき(夫木和歌集)

歌舞伎

歌舞伎では、『伊勢音頭恋寝刀(いせおんどこいのねたば)』に藍玉屋の金持ちが登場します。1796年(寛政8年)、大阪にて初演されました。実話を脚色した物語で、徳島城下の藍玉屋の北六が熱をあげる遊女の名前を、「お紺」といいます。

役柄がひと目で見て取れる化粧、隈取。中でも、藍色で顔を青く隈取るものは「藍隈」と呼ばれ、陰険で冷血な印象なので、怨霊や公家悪などの役柄に用いられます。 

文学

1890年(明治23年)には、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が、「東洋の第一日目」
という文章に、日本の青い風景を描写しました。

「まるでなにもかも、小さな妖精の国のようだ。人も物もみんな小さく、風変わりで神秘的である。青い屋根の小さな家屋、青いのれんのかかった小さな店舗、その前で青い着物姿の小柄な売り子が微笑んでいる」。「見渡す限り幟のぼりが翻り、濃紺ののれんがゆれてる」。「着物の多数を占める農紺色は、のれんにも同じように幅を利かせている。もちろん、明るい青、白、赤といった他の色もちらほら見かけるが、緑や黄色のものはない」。「従業員の背中に(その法被を着た人が、どこの店や組に属しているかを示すために)紺地に白く、かなり遠くからでも簡単に読み取れるほど大きく文字が書かれていると、安物のぱっとしない衣装も、いっきに人の手が加わった輝きが添えられるのだ」。(新編「日本の面影」ラフカディオ・ハーン 池田雅之訳 角川ソフィア文庫)
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