藍は、「愛」や「会う」の掛詞として、恋の歌に登場します。播州飾磨地方は藍の本場だったので、和歌によく登場しました。藍の染めるほどに濃くなる色と、深い恋心を、美しく描いています。
歌舞伎では、『伊勢音頭恋寝刀(いせおんどこいのねたば)』に藍玉屋の金持ちが登場します。1796年(寛政8年)、大阪にて初演されました。実話を脚色した物語で、徳島城下の藍玉屋の北六が熱をあげる遊女の名前を、「お紺」といいます。
役柄がひと目で見て取れる化粧、隈取。中でも、藍色で顔を青く隈取るものは「藍隈」と呼ばれ、陰険で冷血な印象なので、怨霊や公家悪などの役柄に用いられます。
1890年(明治23年)には、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が、「東洋の第一日目」
という文章に、日本の青い風景を描写しました。