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伝統的な藍染め 昔の人は、大変だった!「地獄建て」とも呼ばれる伝統技法 日本の伝統の藍染めは、タデ藍をすくも法により製藍して、天然灰汁発酵建てによって染める伝統的な技法です。藍の栽培から、収穫、すくも作り、藍を建て染めるまでの一般的な工程は、藍に関わるすべての人の知恵と労力、藍への思いなしには確立しなかった、貴重な文化です。

1.タデ藍の栽培

3月上旬、一番ツバメが訪れる頃の大安吉日を選び、種を蒔く。朝、神仏に祈りを捧げ、種まきの後は苗床に御神酒をかけることもある。

およそ75 日後、苗を藍畑に定植。定植は、溝を掘り小さな3~5本を束にして植え付ける。土をかぶせた後、苗の根本を体重を踏む。少々乱暴に見えるが、踏むことで丈夫に育つ。

5月上旬、20cmくらいに成長する。

6月下旬~夏 梅雨明けに収穫。まず、1番刈り。さらにぐんぐん成長させて、2番刈りを行なう。

収穫したらその日のうちに茎葉を約2cmに切る。乾燥させて、大型の扇風機で吹き飛ばして、葉と茎に分別。俵に詰めて保管する。

種まき→移植→藍葉刈り→夜切り

2.すくも作り~染め

9月、藍を寝床に出し、すくも作りがはじまる。

藍を床に寝かせ、4~5日ごとに水を打ち、上下切り返しを繰り返し、ムラなく醗酵させる。
12 月初旬まで100 日ほど続く重労働だ。発酵の際、アンモニア臭で目が痛くなったり、熱気で窒息しそうになるという。
藍の分量に対する水量は各家の秘伝で、すくも作りは五感が頼り。気温や湿度の変化に合わせて作業をすすめる。

仕上がったすくもは、叺(かます)(ムシロを二つ折りにして縫った袋)に入れて、全国の染師に送られる。すくもを搗(つ)き固めたものが藍玉で、昔は藍玉が流通した。

寝かせ込み→切り返し→俵づめ

3.藍を建てる

すくもを使用して、藍建てがはじまる。「発酵建て」は、手順が多く難しいので「地獄建て」とも呼ばれる。

藍染めの原理
藍染めは、藍植物に含まれる水溶性で無色のインディカンを加水分解することで、インドキシルとグルコースができ、空気に触れて酸化してインディゴが生まれます。沈着と酸化発色の工程を何度も繰り返して染色し、主に、染色回数の違いで藍色の濃淡を表現します。

つまり、インディゴは不溶性のためそのままでは水に溶けないので染まりません。天然灰汁醗酵建てで水溶性のインディゴになり、
インディゴが溶けた染液に布や糸を浸して、引き上げて空気に触れることで酸化して不溶性のインディゴに戻り青く発色するのです。

藍を建てる工程

灰汁取り → すくもを叺からタライに出して細かく砕く → 仕込み → 具入れ → 中石 → 灰汁上げ → 留石 → ふすま → 建ちあがり → 染色

叺(かます)に入ったすくもは、藍師のもとで保管。半年ほどですくもに白いカビが生え、カビがなくなると保存可能な藍染め料が完成する。
カビが消えると56kg が32kg になる。

すくもと木灰と石灰を通した液に熱湯を入れて攪拌する泥状になったものを藍甕の水に加える。次に石灰を入れて仕込み終了。
麸(ふすま)とブドウ糖、清酒、消石灰などを加える。

かまのわきの大壺で鋸屑を燃やすと発酵がはじまる。

12~3日して藍が完全に建つと、攪拌した時に発生する泡が残り酸化して紫がかった藍の花を咲かせる。最初、花には粘りがある。
攪拌する度に赤みをおび、花が赤紫になったら粘りがなくなり、藍が落ちつき、染色する。

漬けては取り出して、空気に触れて空気媒染する。これを10~20 回繰り返してだんだんに濃く、好みの色にしていく。

藍の味は? 職人さんは、藍を舐めて状況を確認します。 元気の良い藍はピリッとして、疲れた藍は酸っぱい味だといいます。

藍の用語

すくも 藍の葉を乾燥し、初秋から師走にかけて約100日を費やして発酵~熟成させて作る染料。
染め上がりの善し悪しの決め手となるすくもは、藍染めの命といえる。
藍 玉 「すくも」を丸く固めたもので、玉藍とも呼ぶ。かつては流通に便利な形だったので主流だったが、
すくもの状態で流通できるようになり、しだいに作らなくなった。
藍 師 藍の栽培から、すくも作りまでを担当する。
染 師 すくもから藍を建て、布を染める工程を担当する。
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